趣味の電子工作:小手調べ2
PCスピーカーの改修

難易度:簡単、ただし要はんだごて、OSコン6個。
警告:この作業を行うと、メーカーサポートを受けられなくなります。実施は個人の責任においてお願いします。

WARNING : PLEASE OWN YOUR RISK.

2004年11月21日 新設。
2004年11月21日(その2) ™を削除、タンタルコンについての記述を補足。
2005年08月20日 レイアウト変更。
2009年10月20日 第三次改修作戦を追加。

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はじめに

 さて私のPCには、いただきものの富士通ロゴが入ったALTECスピーカーがつながっておりますが、これはかなり良い音が出ております。特に低音がちゃんと出ています。

 この他に、かなり昔から使っていた、ヤマハのYST-M5というスピーカーがあるのですが、これがハズレを引いたのか、最初からあまり音が良くなく(値段を考えると仕方がないのかも知れませんが)、さらにPCでCDを聞くのが億劫なので(デジタル化してる暇ももったいないし、そもそもドライブがうるさいし)、ヘッドフォンもイヤホンも長時間作業には向かない(耳が痛くなる)ので、CDプレイヤーにこのスピーカーをつないで、音質は気にせず音楽を聴いておりました。入力は2系統あるし、ボリュームと連動した出力端子もあるし、使い勝手は良いのです。

さっそく改造

 さて今回、作業中に音楽を聴こうと久々に引っ張り出したこのスピーカー、以前に比べ、さらに何か薄皮を2〜3枚被ったような音しか出してくれません。ボリュームが小さいときに音がショボいのは良くある話ですが、ある程度大きくしても変わりません。壁が薄いから、大きな音は隣に迷惑だしね。これはきっと、中味がヤレたかな? こういう時真っ先に疑うのはコンデンサです。早速分解してみることにします。右側は、見るからに電源周りとかアンプとか載ってそうですから、まずは、簡単そうな左側から。筐体はねじ蓋もなく、ねじ4本を外せば簡単に分解できます。

 見るからに単純そうな構造であります。スピーカー自体は値段の割にしっかりした作りに見えるのに、この音はもったいない。そこで、この基板を外してみます。上の写真に見えている4本のビスを外すだけです。

 あああマクロレンズがないとマクロモードでも限界だあああぁぁぁ。眼が痛いでしょうけれども我慢して下さい。基板に載っている部品のうち、上2個が直列になった(*1)電解コンデンサ(日ケミSMEシリーズ、16V/470μF)です。ポピュラーで使い易く、値段もお手頃なコンデンサですが、音楽用にはどうかと思います。これ替えちゃえば良いじゃん? 電解は液漏れなどでさんざん嫌な目に遭っていますので、どうせだからOSコンに変えようというコンセプトなのですがどうでしょうか。

(*1) きちんとパターンを追えば、パラレル(並列)になっていることがすぐ分かるはずでした。反省しています。

 電解コンデンサには寿命があります。特に熱にさらすと寿命が短くなります。実際、PCでも電源コンデンサが液漏れして、マザボの買い換えを余儀なくされました(私が)。コンデンサに音が絡むと、音質にも関係してきます。

 ということで俺部品棚を漁ったら、リード(コンデンサの足)が真っ黒になった三洋のOSコン10V/220μFがざらざら出てきました。あのさー。足はOFCにしなくて良いから。時間が経つと表面が簡単に酸化するんです。ストックには大変困ります。後から出たマルコン、日ケミのOSコンは普通のリードでした。ちなみにわたくしOSコン信者ですが何か質問ある?

 愚痴と冗談はさておき、元についていたコンデンサが16V/470μFなのに、10V/220μFのに替えちゃって大丈夫? と思われた方。数字を良く見ていますね、鋭いです。電解コンデンサは、電解液を介して電荷を溜める構造ですが、OSコンはTCNQ醋塩という有機半導体を使っています。つまり、今までイオン電導だったものが、電子電導になるわけです。耐圧についてもマージンが広いです。もう時効だと思いますので白状しますが、わたくし、とある会社に居た時に、試作基板にOSコンを全部逆極性で付けてしまったことがありまして、気づかず火を入れました。これが電解コンやタンタルコンなら大惨事間違いなしですが、動かないなーと思っている間1〜2分火を入れっぱなしでしたが、何の障害もありませんでした。もったいないので、他の基板に付けたら、何の問題もなく動いていました。上方向の耐圧についても、電解コンでは熱に弱いという特性があるので、マージンを多め(できれば2倍)に取っておくものですが、OSコンではそこまで気を遣わなくて良いというのがあります。何より、下手な電解の16V/470μF品と、OSコンの10V/220μF品で、ESRがあんまり変わりません。であれば、別にOSの10V/220μFで良いじゃん。高いけど。ということになるわけです。極論すれば、「OSコンに変えるとでかくて入らない」と言っている人は、同じ耐電圧同じ容量のものに変えようとしているのが原因です。

 あああすみませんすみません。ピントが来てないにも程があります。マジ死にたいです。吊ります。でもカメラ買い換える金どころか、少なくともあと2ヶ月はカレーかパスタとヨーグルトだけで過ごさないといけないしな。飲み物はハナマサの水出し麦茶。まあそれはいいとして。

 とりあえず左だけ取り替えて視聴。幸い、このスピーカーの右ユニットにはPRESENCEつまみがありますので、右だけ音を出したり左だけ音を出したりできます。明らかに音質が変わりました。じゃあ右もレッツゴー

 とりあえず空けたところです。左側、スピーカーの上に見えるのが、フロントに出ていたパワースイッチとLED、PRESENCE、ボリュームが載っている基板です。右側が、電源とアンプ、入出力端子。上にちょこっと見えている銀色のものは、アンプ用のヒートシンクです。

 勘で、でっかい方の基板だけいじれば大丈夫だろうと思い、外してみたところです。

 裏のパターンを見る限り、上の写真で右に見えているのが電源周りのパスコン(バイパスコンデンサ)で、ヒートシンクの右上に(見にくいですが)二つ載っているコンデンサが、左側のスピーカーに載っていたものと同じやつです。この際ですから、この4つも取り替えてしまうことにします。

 右上に何か写っているのは気のせいです。基板上のマークとコンデンサの対比が分かりやすいように、とりあえず1個だけ付けたところの写真です。

注意点

 電解、OS、タンタルなどの大容量コンデンサには極性があります(まれにバイポーラコンデンサと言って、無極性のものがありますが、高いので特定の場所にしか使いません)。基板にも極性がプリントしてあり、誤挿入を防ぐようになっています。自動実装機がない小さい工場や、うっかりさんの多い工場(はっきりは書きませんが、日本の近くにあるKで始まる国の工場とか)では、実装後に極性をマジックで確認させるところもあります。極性はしっかり確認しましょう。上の写真に示している通り、OSコン(と電解コン)には、マイナス側に白い線が引いてあります。タンタルコンでは逆にプラス側に白いマークや+記号が書いてありますが、どうしてマイナスに統一しなかったんでしょうか。なんか悪霊でも憑いたんでしょうか。不思議でなりません。おまけに、タンタルは小さく作れて電解よりも特性が良いので結構使われているのを見ますが、タンタルだけは極性を間違えるとショートモードで故障するのです。つまり短絡事故です。青紫の炎が一瞬見えたあと「パーン!」とはじけて部品の破片が飛び散ります。基板がえぐれることもあります。大変恐ろしいことです。あと異様に臭くてたまりません。いや私は1個しか破裂させてませんよ。ほんとですよ。なので、タンタルにはフューズが内蔵されたものがあります。本末転倒だと思いますが実装面積が足りないという事情があります。成分がタンタルでないけれども同等の大きさのものも出てきましたが、まだまだ高いです。実際、こないだバラした味ぽんにも、表面実装タンタルコンがたくさん載っていました。

 話がそれましたが、そういう訳で極性の確認はしっかりしましょう。基板を引いた会社や国や設計者でマークが異なることが多いですが、マイナス側がはっきり分かるようにマーキングしてあります。今回の基板だと四角い突起が出っ張ったシルクプリントになっています。

 半田付けが終わったら、念のためもう一度極性を確認して、元通りに組み直して火入れです。もう別のスピーカーかと思うほど音が変わりました。ただ、電源周りの設計が悪く、クーラーで暖房を入れていると、クーラーが起動するときに「プチッ」とノイズが入ります。

 やはり、物は大事にしたいものです。

第三次改修作戦(2009.10)

 上記までが2004年11月の表記です。ここから先は2009年10月の表記になります。こんなところで「歳を食ったなあ」と実感するとは思いませんでした。

 このスピーカーは、とある方に譲っておりましたが、ちょっと再チャレンジしてみたいと思い、別のスピーカーをお譲りした上で(3,000円でお釣りが来るLogicoolのスピーカーですけど、そっちの方が明らかに音質が良い)引き取ってきました。

 基板のビスを全部外して回路をざっと眺めました。

最初の回路解析スケッチ

 うーん、最初からこうしておけば良かった。この時点でも問題が散見されます。では、本格的な解析を。

 
 フロント基板(基板1と仮定)
 背面基板(基板2と仮定)

 ここまでは実体配線図でわけわかめなので、「とりあえず回路図」に清書します。

とりあえず清書したもの

 つーか俺、OS-CONを10V品と交換してんじゃん。では俺の責任ではないところを検証してみましょー

(1) 電源まわり
 ACアダプタのDC出力が9V。これを直接使っている。-9Vを作っている形跡はない。
 100Ωの抵抗を介してVccが分けられている。この、直列に入っている100Ω抵抗が1/6W品。

(2) プリアンプまわり:
 μPC4570HA(NEC。以下面倒臭いのでuPC4570と表記)のデータシートには、はっきりBIPOLAR(両電源)と書いてあるし、recommended operationg conditionsのsupply voltageのところには±4〜±15Vと書いてある。にも関わらず、実際この回路では+9VとGND(0V)に繋がっている。uPC4570自体は決して悪くないのだが、V-を0Vで運用した時どうなるかは、データシートの内部等価回路図でだいたい予想が付く。
 PRESENCEまわりの回路は、左右パンに拘らないなら、いったん撤去してみるのも手かも。

(3) パワーアンプまわり:
 +13.2V前提(マイナスなし)の、ラジカセとか車載とかを目的としたLA4485(三洋)の時点で、コンデンサがどうたら言っても無意味なような気が。それをACアダプタ直の9Vで運用している。

 ここで回路図を再整理してみる。

基板(1)の方には撤去範囲を記入

 こうしてみると、電源が9Vではいけないという理由は、LA4485の発熱以外には見あたらない。さらに言えば、このパワーアンプLA4485のGNDは入力と出力に別れているので、入力に-12Vを突っ込んでも良いような? しかし、それをやると±12V = 24Vの電位差になって、LA4485の絶対定格ぎりぎりになってしまう。さらに言えば運用推奨電圧は13.2Vなので、どこをどうやっても敗北の予感。なので、とりあえず電源の12V化だけを実施、ACアダプタを換えるだけなので楽勝。というか、パワーアンプごと換えた方が良いような気がしてきた。できるだけ発熱しないやつ。

 それは後回しにすることにして、ものは試しとuPC4570を外して、8ピンDIPのソケットを無理矢理植えてみた。配線が長いけど、実験なので気にしない。いつでもuPC4570を戻せるように、もと付いていた位置にはわざわざSIP 9ピンのソケットを植えた上で、単電源・両電源の双方に対応していることをデータシートで正式にうたっているTL092が部屋に転がっていたので差し替えてみます。

 12V化も手伝ってか、音の差が歴然としています。配線が長いけど、そもそも回路に問題があるなら配線長さえどうでも良くなる、という程度の違いが出ることは分かりました。一応シンクロで両方の波形も確認。写真撮りは失敗したので省略。

 さらに、部屋に転がっていたNJM4558とNE5532にも交換してみたものの、そちらはuPC4570と大差ない。やはりV-にはGNDでなく、ちゃんとV+の負電源を突っ込んでやらないと、所定の性能が出ないのであろうと確信しました。というか以前、似たような失敗したことあるし。製品じゃないけど。

 あと、PRESENCEまわりの回路を撤去。こちらはほとんど差が感じられなかったので、後で戻すつもりです。

 さて、負電圧を作ったあと、パワーアンプをなんとかしてみましょう。まあぶっちゃけた話、それらの部品を買うお金があれば、安くてそこそこの音がするPCスピーカーは買えるんですけど、それを言ったらおしまいなので言いません。

(予算の都合で時間を措いてつづきます)


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