Nゲージ工作

KATO 211系(旧)のムギ球ヘッド・テールライトをLED化する

2004年03月03日 新設。
2004年03月03日(その3) 補足を追加。
2004年03月10日 誤記を修正(+0Vを0Vに修正、VppとVccの表現ゆらぎがあったのでVppに統一)。
2004年11月18日 レイアウト変更。

※免責事項 本ページの内容の実行にあたっては、自己責任でお願いいたします。本ページを参考にした工作の結果に責任を持つことはできません。

※注意 書いている本人が結構うっかりさんなので、数値の類は鵜呑みにせず、ご自分で確認されることをお勧めします。

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 さて、最近Nゲージに復帰した私ですが、その間に常点灯とLED化(デジタル制御は別として)が進行しておりました。そこで、手持ちのKATO 211系(旧)のヘッドライトとテールライトを交換してみることにしました。

 まず、現状を確認するために、どノーマルのクモハの車体を外します。

 ライトユニットが、ねじ止めで付いていますね。これを外してみます。

 集電機構付きの基板が出てきました。この基板を見ると、ムギ球2個(それぞれヘッドライト・テールライト用)とダイオード(たぶん1S1588あたり)が付いています。

 いったん、これらのパーツをすべて基板から外します。下の写真の左の方に見えているのが、はんだ吸い取り線です。なお、これからはんだ吸い取り線を買う方には、ハッコーの製品を激しく推奨します。グットのは吸い取りが悪いように思います。

 秋葉原に行って、電球色LED(まだまだでかいのですが)を買ってきてあります。マルカ電機さんで購入しました(詳しくは、いっこ戻ったページでご紹介しております)。

 また、熱収縮チューブ(1φ)も買って来ました。ただ、これを買ったあと、半額以下で売っているところを見つけて鬱になったのは秘密です。

 あと、何かあった時のために、小電力スイッチングダイオード1SS133(ローム)を100本買ってありましたので、それを使うことにします。テールライトには、某ジャンクショップで一袋100円で売られていたLED詰め合わせの中から、小さい適当なものを選んでみました。

 LEDを光らせるための回路図は次の通りです。抵抗値とかは概算なので、下の方で解説します。

 回路図で、上・下と書いてあるのは、基板を裏から見て、端子の揃いを右側にして置いた時の、集電ピンの位置です。説明するまでもありませんが、Nゲージにおいては、電源は0V・+12が逆転しますので、どっちがVpp(プラス)でどっちがGND(マイナス)か分かりません。

 LEDの先には、逆耐圧対策として、1SS133を入れてあります。ふつうのLEDは、発光ダイオードとは言っても、逆耐圧が3〜5Vぐらいしかありません。ですから、単純に付けただけでは、極性が反転したときに最悪焼き切れてしまう心配がある訳です。

 1SS133は、秋葉原で普通に売っていますし、1S1588(東芝)でも全然問題ありません。なお1S1588はディスコン(生産中止)と聞いていますので、今後の設計には1SS133を代用した方が良いようです。1SS133は逆耐圧80V、平均整流電流130mA、電圧降下1.2Vと、この用途にはうってつけです。

 LEDの使い方ですが、ダイオードですから、正極から負極へ電流が流れるようにしてあげます。マルカ電機さんではLEDに小さなシートを付けてくれますが、それでだいたいどういう使い方をすれば良いかが分かります。

超高輝度電球色LED LAMP
HRD社 HWLH-A51A-11

許容損失
(mW)
指向特性 光度
(mcd)
順電圧
(V)
順電流
(mA)
逆電圧
(V)
色度座標
120 15° 4000 3.6 30 5 X=0.45,Y=0.41

 最初の許容損失はとりあえず置いときます(順電圧と順電流で計算した方が簡単なので)。光度はどのくらいの明るさかの目安にしましょう。

 次の順電圧と順電流から、何Ωの抵抗を挟めば良いかが分かります。式IF=(Vpp-VF)/Rを置き換えてR=V/Iとするわけですが、まず電源として最大12Vかかり、このLEDで3.6V電圧降下して、さらにさっきの1SS133で1.2V落ちます。なお、その次の逆電圧が、ダイオードとして何Vまで逆電圧をかけることができるかということで、12Vをかけると2倍以上定格をオーバーしてしまうことになりますね。

 ところで30mAまで流せると書いてありますが、それだと光りすぎの可能性があるので、電流を10mAぐらいまで落としてみましょう(それでも1300mcdぐらい?が期待できるわけですが)。そうすると式は、

 (12 - 3.6 - 1.2) / 10mA = 0.72kΩ = 720Ω

となります。720Ωという抵抗は手持ちにないので(E系列にあったっけ?)、転がっていた1/6W金被抵抗680Ωで代用することにしました。で、12-3.6-1.2V = 7.2Vのところに10mAということは、72mWが抵抗に流れる訳で、これなら1/6W抵抗を使っても全然OKです。

 次の写真が、とりあえず実験として基板に仮付け超空中配線して、通電してみたところです。

 分かりにくいかもしれませんが、ちゃんと光っています。うしろのクハもヘッドライトが光っていますので、方向も合っています。実験にはN-1000-CLを使いましたが、LEDの方はダイアルをかなり絞った位置からも光ってくれました。

 続いて、テールライトも付けてみましょう。こちらは福袋的な買い方をした、得体の知れないLEDですから、まあだいたいVF=2V、IF=15mAぐらいとして適当に抵抗値を決めてみます。

 画面では分かりにくいかもしれませんが、光っています。

 ところで、まだ小さい電球色LEDというのは出ていません。そこで、(1)ライトケースを削る、(2)LEDを削る、という二つの作業を行わないと、ケースにすら入らないということになってしまいます。

 ライトケースの方はニッパーとカッターでなんとかしましたが、LEDが長手方向に長く、いかんともしがたいものがあります。そこで、リスク承知で、レンズを少し短くしてみました。レンズはかなり硬いので、ご家庭にあるワイヤカッターで無理矢理切ってみました。

 自分で見ていても、無理があるなあと思います。あと車両側のケースの方に、少し亀裂が入ってしまったのは秘密です。

 点灯実験をしましたところ、無事に光ってくれました。発光素子さえ破壊しなければ、レンズはいくら叩ききっても光ってくれそうです。

 では、ダイオードと抵抗を、ケースに収まるサイズに加工してみましょう。

 上の写真では分かりにくいかもしれませんが、ダイオード側を熱収縮チューブで巻いて、絶縁してあります。走っている最中に、ときどきパワーパックのブレーカーが落ちてしまう車両は、怖すぎますので。

 では、仮組してみましょう。

 前のパーツも削ってしまえば、ぎりぎり入るようです。LEDのフチの部分も少し削ってあります(それにしたって無理矢理ですが)。

 裏から見ると、このようになります。

 同様に、テールライトの方も加工してみましょう。

 ちょっと切りすぎたかな?というぐらいリードを切ってしまいましたが、なんとかコンパクトにまとまりました。上の写真は、まだ熱収縮チューブをかけていません。

 ところで、加工中に集電用の足を指でぺたぺた触ってしまいましたが、脂性の人でなくても、指の脂はバカにできません。イソプロピルアルコールないし無水エタノールを持っている人は、それらの脱脂力が強いので、集電端子を磨いておきましょう。ただ指で直接触るとカサカサになってしまいますので注意してください。私は、下の写真の「ヤニクリーン」というのを愛用しています。これはエタノールとリモネン(ま、みかんの皮な)が主成分で、基板についたはんだのヤニを取るのが主目的ですが、色々と便利です。

 後に映っているもののうち、ソルバミンは必需品。やけどとかするし。こての向こうにある水色の物体がシンクロ。富士通のスピーカーはいただきものです。

 さてここまで来ましたので、配線し直して仮止めして、絶縁テープを被せてみました。

 大丈夫かコレ? 導通テストしてみます。

 おお、なんとなく光っています。でも少し暗いような、抵抗値を上げすぎたでしょうか。あと、絶縁テープが遮光の役割に全然向いていないことが分かります。ダメな予感。

 テールライトはこのように美しく光ってくれました。

 さて実車試験です。

 だめじゃん。

 光が漏れて、しかも肝心のヘッドのところまで光が届いていませんね。対策として、
(1)抵抗値をもう少し下げ、1/4W品ぐらいに替えてみる→明るくする
(2)パテか金属テープの類で遮光を試みる
(3)ファイバー類の導入を試みる
というのを考えています。

 テールはOKでしたが、ここで力尽きましたので、あとは宿題ということでここまでにしておきます。以上、私のLED化実験でした。


おまけ 室内灯のLED化回路図

 以上の実験はヘッドライト・テールライトのものでしたが、室内灯ユニットを持っていないので、それは交換できませんでした。室内灯ユニットの回路がどうなっているか知りませんが、どっちの極性が来ても大丈夫なように、ダイオードでたすきがけ(ブリッジダイオードと言います)してあげると、極性を気にせず室内灯を光らせることができると思います。

 以下回路図です。

 この回路図では抵抗値を680Ωと書いてしまいましたが、上下にダイオードが入っていますから、1.2V+1.2Vで、合計2.4Vの電圧降下があることを考えに入れてください。また、実際には使うLEDに合わせて抵抗値を変えてください。LEDの数は、1個から数個まで自由に変えられます。

 LEDは直列にしても良いですが、その場合LEDの電圧降下の合計が、ブリッジダイオードの電圧降下と合わせて12Vを超えると、N-1000-CLでも光らなくなります。あと旧パワーパックで悲惨なことになります。LEDを付けた分だけ電流も食いますし、ご注意を。

補足

 ブリッジを1SS133で回路を引いていますが、これが130mAを基準に作られているので、それを超えるようであれば、10JDA10(日本インター)とかを使ってみることになると思います。

 10D1の名前の変遷 10D1 → 11E1 → 10JDA10


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